オリンピック・マラソンについて

おじいちゃんはこう思うー

「 おじいちゃんが東京オリンピック・マラソンを東京でやってほしいとなあーと言った時、お前たちは二人とも部活のテニスを思い出して、夏の暑さは本当に大変だよと、反対意見だった。今日の午前中、民放の報道ワイドショーを見ていたら、出演者が同様の反対意見をとうとうと述べていた。しかし、おじいちゃんは彼らが述べた反対の意見について、それぞれ次のような考えを持っている。お前たちの世代はどう思うのかね。

 反対意見1. 「選手や観客には暑さに伴うリスクがある。問題が起きた場合誰が責任を負うのか」

(おじいちゃんの意見)

  全てのスポーツはリスクを伴う。要はリスク・トレランス(許容度)の問題だと思う。オリンピック・マラソンはそもそも温室で育てられたアスリートを参加させるべき競技ではない。マラトンの兵士のようにゴールして死ぬことは回避すべきだが、体を鍛えて十分な健康チェックを通過したアスリートのみに、オリンピックへの参加を認め、その勝者を讃えるべきだ。結果の責任は、所与の条件下で挑戦することを選んだアスリートが負うべきであり、主催者はそのアスリートを守るためできる限りの手配をすべきだと思う。観客にも、無理だと思ったら涼しいところでテレビ観戦する選択肢がある。やめなさいと言われたのに大丈夫と押し切って街頭で観戦し熱中症になったからと言って、東京都に責任を取れと文句を言う気は、おじいちゃんにはない。

 反対意見2. 「マラソンが札幌に移った場合の追加費用を都民の税金から払う気はないと小池知事は言ったが、IOCとの契約で、追加費用が生じた場合は東京都が負担する、と明確に規定されている。支払い拒否は小池知事のパフォーマンスではないか」

  その契約は、東京オリンピックの一部競技を海峡の彼方にある北海道で行う可能性をも規定しているのか?取引内容が変わったのに同一の支払い責任を追及するのには無理がある。

 反対意見3. 「IOCが決定したといえばもう無理なのに、小池知事は政治家としてのパフォーマンスをしようとしている」

  組織委員会の会長が何日も前に聞いていたのに都知事に知らせず、IOCが決定した後で知らせたとすれば、明らかに組織委員会の運営に問題がある。それに焦点を当てず都知事を貶めるコメントをするのにはどんな意図があるのか?

 反対意見4. 「東京でやれば日本選手が有利」

  過去のオリンピック・マラソンは開催都市で行われた。今後もそうなると思われる。ロス、シドニー、北京などで開催国選手が有利だったとすれば、東京の場合も同程度に有利かもしれない。しかし、なぜこれが特に東京開催の否定要因になるのか、おじいちゃんには分からない。

 反対意見5. 「オリンピック招致提案書にこの時期の東京は気候温暖と書いてある。もともと嘘を書いた招致委員会が悪い」

   出演していた元知事は苦しい弁明をしていた。小池さんは招致決定後就任した知事であり、自分の責任ではないとそっぽを向かず暑さ対策に資金を投入し、アスリートに妥当な競技環境を提供するため努力をしてきている。IOCバッハ会長もその準備は素晴らしいと認めたと伝えられる。とすれば、東京の気候とそれへの対策は既にIOCも承知しており、招致文書の当該表現が現時点で重要な虚偽記載として影響を持つとは思えない。むしろ、「6時スタートー8時半から9時のゴール」が、十分に体を鍛えたマラソン・ランナーにとって妥当性を欠く過酷な環境なのかを、スポーツ医学的に検討し、その結果で判断すべきではないのか。

 

 夕刻、調整会議の様子をテレビで見た。孤立無援の小池知事が、おじいちゃんには気の毒に思えた」

ーどう思うー